師走の常磐もの〜冬の海が育む濃厚な旨味〜
師走を迎え、いわきの海は冬の装いとなりました。常磐沖では親潮と黒潮がぶつかり合い、魚たちのえさとなるプランクトンが豊富に発生する豊かな漁場を形成しています。この時期、私たち水産市場にも冬ならではの美味しい魚介類が次々と水揚げされています。
12月の主役はやはりアンコウ
12月から2月頃がアンコウの最も美味しい時期とされ、市場でも高い評価を受けています。捨てる部分がほとんどない魚と言われるアンコウは、特に冬が旬 で、地元では年末年始の忘年会や新年会に欠かせない食材となっています。
いわきで昔から親しまれているのが「どぶ汁」という郷土料理です。アンコウの肝に味噌を溶き、水を加えずにアンコウの身と野菜から出る水分だけで炊き上げた鍋で、コラーゲンたっぷりで深いコクが特徴です。漁師たちが船上で食べていたまかない料理が発祥と言われており、濃厚な肝の旨味が口いっぱいに広がる贅沢な味わいです。
いわきの”市の魚”メヒカリも旬
目が青く光ることから「アオメエソ」とも呼ばれるメヒカリは、いわき市の市の魚として知られ、12月も水揚げされています。唐揚げや干物で食べられるほか、市内の飲食店では刺身や寿司で提供されることもあります。脂ののりが良く、皮が柔らかいため、丸ごと食べても食感が良いのが特徴です。
その他の12月の味覚
11月から6月が水揚げ時期のジンドウイカ(ヒイカ)は、身が柔らかく、火を通してもあまり硬くならないため、刺身や煮付けなど様々な料理に活用できます 。また、9月から6月が水揚げ時期のヤナギダコは、アワビやカニを主食としているため、うま味のある風味豊かな味わいが特徴です。
寒い季節にこそ、常磐の海の恵みを
親潮と黒潮がぶつかる潮目の海で育った「常磐もの」は、脂のりも旨味も格別です。年の瀬を迎えるこの時期、ご家族やご友人と温かい鍋を囲んで、いわきの海の幸をたっぷりとお楽しみください。